2025 . 06 . 30
CORPORATE
「全員アップデート。」というスローガンから伝わる、AI活用と共に進化する組織づくり。 IT人材事業本部長 成末千尋インタビュー
「全員アップデート。」というスローガンのもと、2026年3月期を走り始めた、ギークスのIT人材事業本部。
今回はIT人材事業本部を牽引する事業本部長の成末 千尋に、このスローガンを策定した背景とともに、「AI活用」「勝ちパターンの定着化」「ユニット制と権限移譲」といった具体的な戦略、そして成末が描く組織の未来像まで、多岐にわたる話を聞きました。
「進化し続ける組織」の全貌
▲半期に一度開催される全社イベント「ギークスアワード」での事業本部長発表にて
ー毎年恒例の事業本部長インタビュー、今年度もよろしくお願いいたします。今期のスローガン「全員アップデート。」には、前年度の「Re:Build」で組織を再構築した先に、新たな進化を目指す強い意志を感じます。このスローガンに込められた想いと、その背景について教えてください。
前年度、リーダーを中心としたマネジメント体制の再構築や勝ちパターンの定着といった組織的な成果を生み出したことを受け、AI活用やデータドリブンに基づいた意思決定などを実施できる組織へと進化していくために「全員アップデート。」というスローガンを策定しました。
「組織として常に進化し続けていきたい」という想いを胸に、事業本部長としてメンバーを導いてきていますが、ここ最近のAI活用のトレンドもあり、営業手法、ツール、自分自身のマインドセットを大きく変えるタイミングが来たと感じています。
今期のスローガンを発表したギークスアワードでも「旧態依然はもういらない、武器を持とう、進化しよう」というメッセージとともに、「自分たちのやり方に固執するのではなく、変化を恐れず、変化を楽しめる。今期もそんな組織でありたい」という想いを伝えました。これまでの営業ノウハウから導かれた勝ちパターンと、生成AI活用を組み合わせ、営業生産性を最大化させる組織づくりを推進できればと考えています。
ー「全員アップデート。」を進めるにあたって、どのような取り組みを進めていくのか、お伺いしてもいいでしょうか。
「AI活用」「勝ちパターンの定着化」「ユニット制と権限移譲」という3つの柱で取り組んでいきます。前年度から取り組んでいたテーマではありますが、「再構築」という目的から「アップデート」という目的に切り替わっています。
例えば「AI活用」に関しては、IT人材事業本部の全部門で取り組んでおり、事業開発部を中心にプロジェクトチームを立ち上げ、それぞれの部門業務や営業活動において、AIの具体的なユースケースの特定と検証を進めている段階です。「どんな業務にAIが持ち込めるか」を日々模索しています。
現場レイヤーには、1ヶ月に一度のAI活用勉強会を実施したり、有識者に率直に質問ができる時間を週に3回設けています。また様々なtipsも日々共有され、現場での具体的な効率化や高質化の提案に繋がるよう、それぞれが実践的に工夫をしています。
▲「ギークスアワード」での全体写真
ー「勝ちパターンの定着化」と「ユニット制と権限移譲」も前年度から継続している取り組みだと認識しています。
「勝ちパターンの定着化」については、法人営業を担当する営業部門、ITフリーランスの案件参画までを導くEP部門、案件参画後のITフリーランスのサポートを行うCS部門と、それぞれの部門において、成果に繋がる「型」を言語化し、定着させることを目指しています。
「型」があることで画一的な営業スタイルに集約されてしまうのではないかという危惧もあったのですが、メンバーの成長の方向性が揃い、成果のばらつきを減らしながら、一人ひとりの強みや特徴が上乗せできる状況へと進んでいます。「型」と「個性」を両立させた組織全体の営業力強化が進められるのではないかと期待しています。
「ユニット制と権限移譲」については、これまで部長職のメンバーが担っていた権限を一部リーダー職に引き継ぎ、部長がリーダーを、リーダーが営業ユニットを見ていくという組織体制に変わりました。これにより、スピーディーな意思決定が可能となり、成果を追いやすい組織体制へと変わり始めています。
IT人材事業本部の組織が順調に拡大し、部長・リーダーを任せられるメンバーが増えてきたことが、こういった組織再編を進められた理由ですね。本当に頼もしいメンバーばかりです。
変革と成長を遂げた2025年3月期。

ー前年度は「Re:Build」に取り組んだ一年だったと思いますが、前年度のIT人材事業本部を具体的に振り返っていただけますか。
まず、事業部としての業績に関してですが、通期の決算開示資料で開示している通り、通期売上高の過去最高を更新し、営業利益も期初目標を達成できました。これは何よりも喜ばしいことで、メンバー一人ひとりの行動の積み重ねによるものなので、感謝の気持ちでいっぱいです。
主なトピックとしては、こちらもギークスアワードで1年の振り返りとしてお伝えした「新たな地方拠点の立ち上げ」「リーダーを中心としたマネジメント体制の構築」「勝ちパターンの定着」が挙げられます。それに加えて、「Culture Deckの公開」や「EP部部長のグループ企業代表就任」など、大きな変化や話題が尽きない1年だったと感じています。
ー北海道・広島の両支店の立ち上げは、ギークスとして約8年半ぶりの新しい地方拠点設立でした。
企業とITフリーランスの「地域をまたいだマッチング」が活発化した流れを受け、ITフリーランスの活用を通じて、地域企業の業務効率化やDX推進、プロダクト開発などに寄与することができればと、ここ数年「地域創生」を掲げ、地方商圏の拡大を目的に様々な取り組みを進めてきました。
その積み重ねが実を結び、2025年1月に北海道支店と広島支店の立ち上げが実現したことは、大きな喜びです。支店立ち上げ以降、営業進捗も順調に軌道に乗ってきているので、地方からIT人材事業本部にとどまらず、ギークスグループ全体に良い刺激をもたらせればと思っています。

ーこれまでの組織づくりの中で大切にしてきた価値観やカルチャーについてまとめられた「Culture Deck」の公開も大きなトピックの一つではないでしょうか。
強い組織であり続けるためには、事業ミッションやカルチャー、価値観に対する深い共感性を持ったメンバーを採用していく必要があります。また、日々の忙しい業務の中で原点に立ち返り、ここで働く意味を再確認できる「拠り所」が必要だと考えていました。
IT人材事業本部が目指す組織像や「10の心得」に代表される行動指針、カルチャーなどを言語化した「Culture Deck」というツールの存在は、その意味で極めて重要でした。人的資本開示の一環にもなりますし、様々なステークホルダーとのより良い関係構築にも繋がるものとなったと捉えています。
「勝ちパターンの定着化」のように、一人ひとりの成果に繋げるセールスイネーブルメントも大切ですが、組織カルチャーの浸透を通じて、強固で一枚岩の組織を作り上げることも並行して進めていかなくてはなりません。「Culture Deck」の制作によって、その両輪が整いましたね。
▲アライヴの代表 増田(右)と首都圏営業部 部長 大橋(左)※2人は新卒同期
ーM&Aによってギークスグループに加わった株式会社アライヴの代表に、当時EP部の部長だった増田さんが就任したことも驚きでした。
実は、アライヴのM&A検討プロジェクトの話が立ち上がったばかりの頃、ちょうど増田との1on1のなかで彼の今後のキャリアについて話をしていたところでした。増田の仕事に対する姿勢や想い、これまでの実績を当然よく知っていたため、彼をアライヴの代表として推薦しました。社長の曽根原やCFOの佐久間も彼の活躍はよく知っており、サポートはするからとその挑戦を応援したいと言ってくれました。
そこから、増田はM&Aプロジェクトの一員として企業分析やギークスグループとのシナジー分析に関わることになったのです。ただ、推薦した立場とはいえ、正直なところ、IT人材事業本部の組織状況を考えると、彼の抜けた穴をどう埋めるか、今後の対応に頭を悩ませていたのも事実です(笑)。
とはいえ、新卒で入社してきた増田が10数年の中で様々なポストを経験した上で、グループ会社の代表になるというキャリアを歩むことになったのは、今いるメンバーにとっても希望が持てる大きな事例になったと思います。メンバーが上を目指すことは健全ですし、会社としてもいろいろなポストを用意し、新陳代謝を促すことも大切です。だからこそ、増田にはファーストペンギンとして思い切り活躍してもらって、これまで以上に憧れの存在になってほしいですね。
重要視する「心理的安全性の担保」
▲半期に一度の社内MVP「Buddy賞」のお祝いにて
ーここからは、成末さん自身がIT人材事業本部を牽引していく中で、どのようなことを大切にされているか伺いたいと思います。組織やメンバーの成長を促すために、どのようなアプローチを実践されていますか。
まず思いつくのは「心理的安全性の担保」です。メンバーが何を話しても大丈夫だと感じられる、安心感のある雰囲気づくりを重視しています。
例えば、メンバーから話しかけられたら、どんなに忙しくても必ず手を止めて目を見て話を聞くようにしていますし、それがたとえ些末な話であったとしても、邪険に扱うことはありません。私自身、くだらない話をメンバーにすることもありますし、自分のダメなところをさらけ出すことで、堅苦しくない雰囲気をつくるよう心がけています。
以前、ストレングスファインダーで自身の強みを検証した時、一人ひとりの個性や違いに目を向け、それを見抜くことに長けている資質である「個別化」がピックアップされたのですが、この資質が活かされている側面もあると思います。メンバー全員を一括りにするのではなく、一人ひとりの個性や、その人が大事にしていることを見抜くように努めています。この姿勢が、メンバーの安心感に繋がっているのかもしれませんね。
ー採用サイトのメンバーインタビューなどでも、フィードバック文化が根強く、組織全体でメンバー一人ひとりの成長に関わるという姿勢が特徴と伝えられていました。何でも言い合える環境というのも、成末さんがつくってきた組織風土が影響しているのでしょうか。
そのように感じていただけるのであれば、とても嬉しいですね。
部長やリーダーに向けて、私自身が講師となって、人事戦略部の教育メンバーと一緒に、マネジメント研修を定期的に行っているのですが、そこでもそれぞれのメンバーを導くために、事実と意見を切り分けることや意思決定の際の合理性、データ活用の重要性などを伝えています。コミュニケーションやファシリテーション、1on1などメンバー育成に関わる内容が多いので、これらの取り組みがフィードバック文化の醸成に繋がっているのかもしれません。
IT人材事業本部には様々な研修機会がありますが、マネジメント研修に関しては企画・開発においても私が入り込んでいることもあり、教育チームが研修を作成する過程で、私自身のスタイルや伝えたいメッセージをたくさん詰め込んでくれています。とは言っても、研修内容を強制することはなく、そこで得た気づきや学びをどのように活かすかはメンバーに委ねています。ここでも「型」と「個性」をブレンドした、それぞれのリーダー像を描き、目指してほしいですね。

ー成末さん自身のアプローチでも「心理的安全性の担保」が挙げられましたが、その環境づくり自体が難しい印象を受けます。多くの管理職、リーダーの皆さんも苦戦されているのではないかと思うのですが。
まさにその通りで、私一人の力で心理的安全性が担保された環境が構築できるわけではありませんし、一人ひとりの協力があってこそだと思います。ただ、事業本部長である私自身が率先してその環境を作り上げていこうという意思を持ち、体現していかなければ、メンバーが追随してくることはありません。だからこそ、まずは私自身が、という気持ちは強いですね。
組織ポリシーとして「いいぞ、もっとやれ!」を掲げており 、挑戦に対する称賛と激励、そして、メンバー自身が考え、自律的に行動できるようなコーチングの習慣化を徹底しています。それを私が体現し、メンバーが私の振る舞いを参考にトライしていけば、結果として、心理的安全性が担保された環境が生まれてくるのだと信じています。
また、環境づくりにおいては「やること」以上に「やらないこと」も大切だと考えています。例えば、マイクロマネジメントはしないと決めていて、現場に過度に介入し、メンバーの自主性や裁量権を奪うようなことはしません。彼らの力を信じ、任せることを大切にしています。感情論や印象論での評価もしないと決めているのですが、事実やデータに基づかない、個人的な感情や思い込みでメンバーを評価することは絶対にしませんし、公平性と客観性を保つことを重視しています。
ー何となくではなく、根拠を持った行動で組織を導いていらっしゃるので、今期のスローガン「全員アップデート。」が進んだIT人材事業本部が楽しみだなと感じました。最後に、成末さん自身の今年度の目標を教えてください。
私が好きな「10の心得」の一つが「No.1しか興味ない」なのですが 、「全員アップデート。」を掲げている中で、私自身が一番アップデートしたと胸を張れるように、成長していきたいですね。まずは誰よりもAI活用ができるようになりたいと思います。
今、実は「成末bot」を制作中で、私自身のインタビュー記事や登壇内容、普段のコミュニケーションでよく使っている言葉や表現などを学習させながら、マネジメントやメンタリングに活用できないか検証しています。これが実用できれば意思決定のスピードが格段に早くなりますし、私自身も新たな打ち手を考える時間を作り出せます。
「変化を恐れず、変化を楽しめる」組織が私たちギークスだと思うので 、その体現者として先陣を切っていきたいです。
ーありがとうございました!