2021 . 05 . 31
CORPORATE
最先端のテクノロジーはどのように社会貢献につながるのか。x-Tech事業の持続可能な社会への取り組み。
x-Tech(クロステック)事業本部は、最先端の技術や手法を活用し、「テクノロジー×データ」でビジネスモデル変革のテクノロジーパートナーとなり、これまで培ったxRを活用した動画制作技術、スポーツ領域でのデジタルマーケティングやD2C支援のノウハウを掛け合わせ、価値を提供しています。
現在、ギークスでは、ESGステートメントに基づいて、持続可能な社会の実現・継続的な企業価値の向上の両立を目指し、事業を展開しています。
今回はx-Tech事業本部長のKawanoに、事業展開と社会貢献のつながりについて、話を伺いました。
(取材:SDGsアンバサダーSasaki)
「実現できなかったことができるようになる」という社会貢献のスタイル
ーギークスグループでは、2021年4月1日にESGステートメントが策定され、それぞれの事業展開と持続可能な社会の実現の結びつきを、より強固なものとして推進していくことが打ち出されました。
Kawano:私自身、社会貢献には「直接的な社会貢献」と「間接的な社会貢献」の2種類があると考えています。前者は、募金やゴミ拾いといった直接的な行動に焦点があてられるもので、後者は、利益や所得が納税につながり、その税金が社会に還元されるというものです。事業会社は後者の立ち位置として、利益を出すことによって社会貢献へつなげるというのが大前提です。ただ、我々の事業が社会の何に役立っているのか、貢献できているのか、このメッセージを明確にし、社内外に発信していくことは重要だと認識しています。
ーx-Tech事業本部は、動画制作を中心としたxR事業とスポーツのデジタルマーケティング支援を行うデジタルマーケティング事業(以下、DM事業)という2つの事業が柱となっています。どのような点が社会貢献につながっていくのでしょうか。
Kawano:動画制作の事業でいえば、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)の技術革新によって、今まで見えなかった世界や知らなかった世界を覗けるようになったり、体感できるようになりました。デジタルマーケティングの事業でいえば、メディア戦略を介して、今まで情報を届けられなかった層に情報が届くようになりました。「今まで実現できなかったこと、難しかったことが、デジタルの力で可能になる」という観点は社会への一助となると信じています。
ーSDGsには「9. 産業と技術革新の基盤をつくろう」とあり、今、伺ったことと通じます。また、これはギークスの5つのマテリアリティでも言及されているところです。
Kawano:たしかに、今お話ししたことはSDGsでいう9の目標に当てはまりますね。ただ、事業を細かく見ていくとその目標だけに留まりません。また、スポーツの領域だと「生きがい」や「社会とのつながり」などもテーマになってくるので、SDGsとは違う尺度の社会貢献性で語る必要もありそうです。
xRの技術が生み出す「環境への貢献」
ー先ほどの話の中で、SDGsの9の目標以外へのアプローチもあると伺いました。それは動画制作の先端技術によって生み出されるものなのでしょうか。
Kawano:AR(拡張現実)の世界では、今すでにあるものに価値を乗せることができます。ARというと分かりづらいのですが、スマホゲームでも活用されている、スマホ越しの現実の世界に映像が映し出される技術といったものです。美術館で作品にスマホをかざすと動画でガイドが流れるとすれば、パンフレットは要らなくなるかもしれません。モノをつくる、余れば捨てるという消費社会の流れを食い止めることができる技術であり、SDGsでいえば「12.つくる責任 つかう責任」へのアプローチです。
ーESGでいえば「E(環境への貢献)」へのアプローチとも言えます。
Kawano:メガネにARがついているARグラスの場合だと、お医者さんが手術前にこのグラスをかけることで手術の事前シミュレーションができたり、工場で働く方であれば作業手順ごとにマニュアルが表示されたり、仕事の精度向上や効率化につなぐことができます。環境面への配慮から見ると、「ペーパーレス」や「無駄なモノを最初からつくらないこと」につながります。私たちのxR事業は、クライアントとともに様々な動画やARを作っていますが、環境への貢献を果たしていることを併せて感じていただけると嬉しいです。
ーすでにあるものに動画を組み合わせるという観点でいえば、様々なビジネスが生まれそうですね。
Kawano:そうですね。最近ではアップサイクルという創造的再利用の考え方が広がってきていて、一般的なモノだけでなく、不要なモノや老朽化したモノに新たな価値を付加して、元の製品よりも次元・価値の高いモノを生み出そうという流れが生まれてきています。この流れと動画技術、xRとの相性が良いのです。新たなサービスとして準備しているものもあるので、xR事業の今後に期待いただきたいです。
スポーツの世界で感じる「社会とのつながり」
ー次はDM事業の社会貢献性についてお伺いできればと考えています。
Kawano:DM事業は、スポーツ領域のデジタルマーケティング支援を掲げていますが、スポーツの世界で強く感じるのは「社会とのつながり」です。見て楽しんだり、やって楽しんだりとスポーツが心の支えや生きがいになっています。また、ファンだったり、スポーツ仲間だったりと、良好な人間関係が生まれる領域でもあります。どのような付加価値を提供できるのか、情報提供できるのか、その一つ一つの結果が社会貢献につながると信じています。
ー数あるスポーツの中でも、特にゴルフ業界に注力し、デジタルマーケティング支援やIT化に貢献しています。
Kawano:「ゴルフはお金がある中高年男性のスポーツ」というイメージがあったところに、若い方々も入ってきて、世代や性別を超えて楽しめるスポーツになりました。ゴルフメーカー様やゴルフクライアント様も、それぞれの世代に対して、どのように情報や価値を届ければいいのか、皆さん考えを巡らせており、そこにテクノロジーパートナーとして連携しています。情報の届け方の工夫ひとつで、業界の裾野を広げていくことに寄与できるという経験が生まれ、他のスポーツへの支援にも広げられればと考えています。
ー競技人口やファンの数を増やすというのは、ビジネス面での貢献もありますが、その業界自体を下支えすることにつながります。私自身もパラアスリートなので、そういった企業の支援をありがたく感じています。
Kawano:スポーツは、実際にやる人にとっては生涯に渡って楽しむものですし、見る人にとっては心の支えにもなるものです。私たちの今のサービス領域でいえばゴルフですが、ゴルフに関わる人たちの喜びや笑顔が増えれば、心身の健康の増進と社会への貢献にも繋がっていくと考えています。特にコロナ禍においては、心身のメンテナンスは極めて重要です。SDGsのように定量的に測れるものではないかもしれませんが、DM事業の社会貢献性としては、この部分に集約されると考えています。ぜひ、他のスポーツへの支援も強固なものとしていきたいですね。
取材後記
自分が普段取り組んでいる仕事が、社会の何に役立っているのか。この問いかけに明確に答えられる方は少ないかもしれません。
自身で意識して考えなければ、なかなか気づくことはありませんし、気づくための時間を割くことも難しいでしょう。むしろ、考えなくても、仕事は遂行できますし、困ることがないかもしれません。
ただ、自分の仕事にモチベーションが湧かなかったときや自分の仕事に目的意識を見いだせなかったとき、立ち返る先のひとつは「自分の仕事が社会の何に役立っているのか」です。社会貢献に対する実感値が高ければ、自己肯定感や自己有用感が増し、明日への活力につながると言われています。
今回はx-Tech事業本部の話を伺いましたが、ギークスの様々な事業の社会貢献性を明らかにすることが、働くすべての人の活力の総量を引き上げる取り組みになるのではないかと感じられた取材でした。
※本記事は、2021/5/31に公開したギークス公式noteの転載記事です。