2021 . 06 . 08
CORPORATE
戦略的なSNS活用によりゴルフクラブの販売数が急増。フォーティーンとギークスが仕掛けた取り組みと成果とは
x-Tech事業では、ゴルフ情報サイト「Gridge」の運用実績を活かし、スポーツ業界のクライアントに特化をしたデジタルマーケティング支援を行っています。クライアントの1社である株式会社フォーティーンとは、昨年7月ごろからSNSやオウンドメディアを活用した販促活動をスタートさせており、開始早々様々な反響がありました。
フォーティーンの池田様を改めてお招きし、昨年実施したインタビュー後にどのような変化があったのかを伺いました。
▼前回のインタビューはこちら
【インタビュー】ゴルフ業界に新たな風を。フォーティーンとギークスの試みとは。
株式会社フォーティーン 営業部 マーケティング担当 主事 池田純様(写真左)
ギークス株式会社 x-Tech事業本部DM部 部長 Ikeda(写真右)
新発売の製品が即完売。SNS活用で得た大きな反響
ー早速ですが、昨年末からスタートさせた取り組みの反響について教えてください。
フォーティーン池田様:非常に大きな反響がありました。購買データを見ても、フォーティーンのYouTubeチャンネルやオウンドメディアからの流入が一番多く、お客様の関心や今の情報の取り方の主流と、今回の取り組みがピッタリ合ってるのかなというのは凄く感じました。
Ikeda:昨年11月発売の「TB-5」というアイアンは2ヶ月ほど欠品が続きました。
フォーティーン池田様:在庫が入ってきては、またすぐ売れるということが繰り返し、現在2・3ヶ月待ちのアイアンなんです。(※取材時現在)
Ikeda:ゴルフ業界に長く携わり、マーケティング支援を行っている私の体感だと、アイアンは買い替え頻度が少ないため急激に売れることはほとんどないと思っています。しかし「TB-5」は発売してから1ヶ月程の間で、SNSで色々な方から好評価をいただいて自然に製品の良さが広がり、発売後すぐ欠品になるほどの販売数に繋がったのだと思います。
フォーティーン池田様:「TK-40」もそうですね。新製品を発売する際は、雑誌を中心に多角的にメディア展開するのがゴルフ業界の通例ですが、「TK-40」はフォーティーンのYouTubeチャンネルとweb記事1本のみのPRで、発売2日で3か月分の在庫が売れました。発行部数が何万部にもなる雑誌に掲載してもらった時よりも、1本の再生回数が未だ数千回のYouTubeチャンネルで紹介した方が、販売数への影響やユーザーからのリアクションが多い。正直とても不思議な感覚でした。
Ikeda:製品の露出を極端に集中させたことでお客様に強くアプローチすることができ、大きな売り上げに繋がったのではないかと考えています。
若年層へ向けた具体的なアプローチ施策とは
ー改めて、今回両社がタッグを組んで行ったマーケティング戦略について教えてください。
フォーティーン池田様:今までの実購買層は50代・60代ですが、「メーカーとしてもっと多くの方に認知してもらい、使ってもらいたい」と考え、ターゲットユーザーを20代・30代と定めて、ターゲットユーザーへのアプローチ方法を検討・実行しました。その際にギークスさんに提案をいただいたことが、YouTubeチャンネルの立ち上げやオウンドメディアの活用といった、戦略的なSNS展開でした。「TB-5」が売れた時にはもう紙媒体でのPRはほとんど行わず、全てSNSやweb媒体に変えた状態でした。それが上手く回り、先ほどお伝えしたような結果になっています。
ーここまで大幅な方針転換に対して躊躇することはなかったのでしょうか?
フォーティーン池田様:今までやってきたやり方はもうダメだという事を感じていたので、躊躇はありませんでした。良い状態に変化させるためには、やり方を大きく変えるしか道がないんですよ。
Ikeda:一般的には徐々に手法を変えていこうとする考えが多いと思いますが、選択したその方法で結果が出る前に、違う手法がトレンドになってしまっているケースも少なくありません。アプローチ方法の大幅な変更にチャレンジして頂けたことが、非常に速いスピードで成果が出たことに繋がったのだと思います。
フォーティーン池田様:そうですね。
Ikeda:YouTubeの企画の1つとして、他社のクラブを試打する企画を行っています。フォーティーン様が元々OEMとして他社クラブを設計していたこともあり、クラブの知見があるからこそできた企画ですが、ユーザーだけではなく他社のメーカーからも「斬新な企画だった」と好評でした。紹介するクラブの魅力を伝えることができた一方で、「ゴルフクラブについての豊富な知見がある」という、フォーティーン社としてのブランドイメージを高めることにも繋がったのではと思っています。
ほかにも、ゴルフウェアやバッグ制作が得意な企業とコラボして製品を開発する様子を動画で紹介したりと、今までのフォーティーンと違ったイメージを持ってもらえるような企画も行っています。
また、「TB-5」発売の際は製品開発に込めた想いを伝える記事を公開しました。
【TB-5】開発ターゲットは・・・同僚だった!【FORGED】
フォーティーン池田様:昔は製品のクオリティの良さで物が売れる時代でしたが、今はそれだけでは難しいです。働いている人や製品への想い、ブランドの価値を感じてもらえないと選ばれないですよね。SNSなどを活用して、引き続きブランドの魅力を発信していきたいです。
マーケティング支援から一歩踏み込み、長く愛される商品開発をサポート
Ikeda:次のステップとしては、製品ラインナップの見直しのサポートを行おうとしています。
フォーティーン池田様:数年前までは製品ラインナップに対してそれぞれ購買対象が明確ではなく、ターゲットが重なっている製品もありました。また、製品モデルの種類が増えることでターゲットの細分化が進み、分布の把握が難しい状況になっていました。
Ikeda:そうした状況を変えていくために、ポジションマップを作成して数年先に出るクラブの分までターゲット層を明確にしました。ターゲットが重なっている商品を統合する一方、ポジションマップにないターゲット用の製品開発も進めようとしています。商品開発の部分から一緒に企画をさせていただけると、マーケティングも同時に考えることが出来るので、戦略立案や判断がスムーズにできると考えています。
▼作成したポジショニングマップ
フォーティーン池田様:メーカーの立場で「製品のポジション分けができている」と思っていても、消費者からすると細かすぎてわからない場合も多いです。だからこそ、客観的視点から、製品のポジション分けをサポートしていただけるのはとてもありがたいですね。ポジションマップを作成し、それぞれの製品の魅力を分かりやすくすることで、お客様や販売店のスタッフの方にも明確に説明ができるようになります。ゴルフ用品販売店のスタッフの方もゴルフに詳しい方ばかりではありません。スタッフの方に魅力が上手く伝わらないと中々売れません。
ターゲットを明確化する前は、広告担当として広告代理店の方へ製品の魅力を説明する際に、説明のしづらさを感じていた時がありました。そうした時にIkedaさんから解決施策の提案を貰った時には非常に納得感がありましたね。今まで提案を受けた広告代理店やマーケティング会社からは、そこまで踏み込んだ話ありませんでした。ゴルフが好きでゴルフ業界に知見のあるスタッフの方で構成されているギークスさんだからこそ可能だったサポートなのではと思います。
Ikeda:製品それぞれのターゲットを明確にしたうえで、製品サイクルをなるべく長くしていきたいと思っています。ゴルフクラブのサイクルは通常2年、短いものは1年でモデルチェンジになります。もし仮に製品サイクルを1年とすると、1月に新製品を発表しても、次の新製品に向けて在庫を減らすために、大体9月末ぐらいにはその製品はプライスダウンしてしまうのが現状です。そうするとお客様としては「半年程度経てば安くなるからそれまで買うのを待とう」という動きになり、定価での販売が難しくなります。
フォーティーン池田様:もともとフォーティーンにはヒット製品がいくつかあり、発売してすぐに在庫がないという状況も珍しくありませんでした。それがここ数年は潤沢に在庫があり、在庫を減らすためにセール価格で販売するという状況が続いていました。ギークスさんと一緒に仕事をするようになって、以前のような在庫がないという状態が作れています。上手く価値を作って価値を伝えられる状態になってきていると感じています。
Ikeda:1つ1つの製品が長く選ばれ続けられるようにブランド価値をさらに高めていくための施策は、これから色々と進めていく予定です。
ゴルファー一人ひとりを思う姿勢を後押しすることが役割
ー今回のマーケティング戦略を進めていく中で、ギークスへの印象に変化はあったでしょうか?
フォーティーン池田様:これは最初から変わっていませんが、私たちが実現したいことに対して明確なアドバイスをくれますね。やりたい事は次々と生まれてくるものですが、都度的確な提案をくれるので、幅が広いというか、懐が深いなという印象はありますね。
Ikeda:ありがとうございます。「御社が次やりたい事は、こういう事だろう」というのは、何となく想像していますね。今の「やりたい」と思っていらっしゃることが自分たちの守備範囲の中にあるということかもしれませんが、その範囲を超えた時にも良い提案ができるように、常に私自身も新しい情報をキャッチアップするようにしています。
ーそれでは最後に今後の展望を教えてください。
フォーティーン池田様:今行っている戦略の先としては、ゴルファーに対してさらに楽しませること・モノ・場所をつくっていきたいと思っています。
Ikeda:世の中のトレンドを見据えて、具体的な施策をご提案していくことでそれを実現することがギークスの仕事ですね。フォーティーンさんの「一人を思って製品を作っている」という想いが反映されるようなマーケティング施策を、これからも提案し続けたいです。
※本記事は、2021/6/8に公開したギークス公式noteの転載記事です。