「Beyond Agent」というスローガンから伝わる、「人とAIの共創」で切り拓く新たな事業価値。IT人材事業本部長 成末千尋インタビュー

事業本部長インタビュー

「Beyond Agent」というスローガンのもと、2027年3月期を走り始めた、ギークスのIT人材事業本部。

今回は、IT人材事業本部を牽引する事業本部長の成末さんに、このスローガンへ込めた想いとともに、事業モデルのアップデートや採用サイトのリニューアルの背景、AI活用の現在地などを伺いました。

AX支援プラットフォームへの事業変革

ー毎年恒例の事業本部長インタビュー、今年度もよろしくお願いいたします。今年度のスローガン「Beyond Agent」には、AI活用をメンバー個人の標準装備とした前年度の「全員アップデート。」に続き、今度は組織全体で事業モデルを進化させる意志を感じます。このスローガンに込められた想いと、その背景について教えてください。

私たちは、日本最大級のITフリーランスエージェントとして、ITフリーランスの皆さまと企業の案件の最適なマッチングを追求してきました。現在では「GEECHS JOB」に約24,000名ものITフリーランスの皆さまにご登録いただき、約4000社の企業への支援実績を有するところまで成長しています。

しかし、AI活用が当たり前になった今、ITフリーランスに求められるものも、企業が必要とするものも根本から変わり始めています。これまでの「人材を繋ぐ」「労働力を提供する」というビジネスモデルだけで良いのかどうか、私たちは大きな分岐点に立たされていました。

そこで打ち出したのが、今期のスローガンである「Beyond Agent」です。

AIの普及によって、企業の課題は「人材の確保」から「AI活用を前提とした事業変革や業務プロセスの再構築(AX)」へとシフトし始めており、ITフリーランスの方々が参画する多くの開発現場においても、AIを前提とした開発体制や組織づくりに課題を抱えています。

これまで培ってきたITフリーランス活用のナレッジ、「GEECHS JOB」の登録者基盤を活かし、企業のAI・AX課題に対して、最適な人材とソリューションで応えられる存在になるという決意を今期のスローガンに込めました。

▲2025年度下期ギークスアワードにて(2026年4月開催)

ー「Beyond Agent」は例年に倣って、4月に開催されたギークスアワードで発表されました。IT人材事業本部の皆さんはどのように受け止められていたのでしょうか。

半期に一度の全社イベント「ギークスアワード」の場で、このスローガンと私たちの目指す未来を全体に伝えたのですが、「めちゃくちゃワクワクした」「自分もその変革にチャレンジしたい」という前向きな声がほとんどで、私自身とても嬉しかったですね。

単に言葉として受け止めるだけでなく、実際に自ら行動に移してくれるメンバーが続々と出てきているのが一番の成果です。例えば、7月に立ち上げた「AXデベロップメントチーム」には、これまでの役職やポジション、業務内容に執着せず、「AXという事業部の挑戦に最前線で関わりたい」と飛び込んでくれたメンバーもいます。組織全体が確実に次のフェーズへ動き出している強い手応えを感じています。

ー「Beyond Agent」を体現するために、具体的にどのような取り組みを進めているのでしょうか。

6月1日に発表した「AX支援プラットフォームへの進化宣言」でもお伝えした通り、大きな柱として「営業組織のBizDev化」「ITフリーランスのFDE化」「データベースの質的転換」という3つの変革を軸に取り組んでいます。

まず営業組織に関しては、これまでの「人材をマッチングする営業」から、企業の課題を特定しAIソリューションまで提案できる「BizDev(事業開発)型組織」へとシフトさせています。その一環として、外部パートナー企業の協力も仰ぎながら、現場の営業メンバーなどを対象とした「BizDev研修」をスタートさせました。

次にITフリーランス領域に関しては、従来のコーディングを中心としたスキルだけでなく、顧客の現場に入り込んでIT・AX課題の解決を実現する「FDE(Forward Deployed Engineer)」のような高付加価値人材を目指せるよう、スキル転換の機会を提供し始めています。7月から提供を開始した「FDE育成プログラム」もまさにその取り組みです。前年度から数多く実施してきたエンジニア向けセミナーやイベントも量的・質的に大きくパワーアップさせており、今後は切磋琢磨できるコミュニティの開設も進めていきます。

そして最後のデータベースに関しては、こうしたインプットや学びの機会を充実させることで、24,000名を超える登録者基盤を持つ「GEECHS JOB」を、「AI時代における最先端のエンジニア・高付加価値人材(AXコンサル、FDE、PMなど)が集まるデータベース」へと質的に転換させていきます。

この3つをいかに早く進められるかによって、IT人材事業本部の未来が変わると考えています。

「正解のない時代を面白がろう」と「いいぞ、もっとやれ!」で後押しする、一人ひとりの挑戦

ー事業モデルの進化と同時に、6月には採用サイトのリニューアルを進められました。

採用チームや広報から「採用サイトをリニューアルしたい」と声が上がったことがきっかけです。旧サイトの改修に限界が来ていたという側面もありますが、一番の理由は「ギークス自身が大きな転換期を迎えているから」でした。

昨年11月の「ギークス AIステートメント」の発表やAIを活用した業務のアップデート、そして「Beyond Agent」というスローガンにもある、AX支援プラットフォームへの進化への一歩など、仕事のあり方も組織の目指す先も大きく変化しています。

今、私たちが伝えたいメッセージや熱量をタイムリーに届けられる状態を整えるべきだと判断してリニューアルしました。求職者の皆さまへ今のリアルなギークスを伝えるのはもちろんですが、社内のメンバー一人ひとりにとっても「自分たちは今ここを目指しているんだ」と方向性を再認識するきっかけになればと思っています。

▲新しい採用サイトのファーストビュー

ー新しい採用サイトのファーストビューにある「正解のない時代を面白がろう」にはどのような想いが込められているのでしょうか。

AI活用が当たり前となった今は、これまでの前例やマニュアルが一切通用しない過渡期であり、カオスな状態だと感じています。こうした激しい変化の中で「教えられていないからできない」「マニュアルがないから動けない」という受け身な姿勢では、成長のチャンスを逃してしまいます。

前例のなさに立ち止まるのではなく、「自由に未来を描けるのって、めちゃくちゃ楽しいじゃん!」と前のめりに面白がれるマインドこそが、今の私たちに必要な素養なんです。

AIを使えばプロトタイプもすぐ作れる時代ですし、仮に失敗しても笑い飛ばして「よし、次はこうしよう!」とタフに立ち上がれること。そして自分で思考し、AIへ質の高い問いを立てられること。「面白がる」という行動はAIにはできない、人間の思考力と価値観そのものですから、変化や未知をポジティブに突破していける仲間に集まってほしいという想いを込めました。

ー「正解のない時代を面白がろう」の旗のもと、どのような組織への成長を思い描いているのでしょうか。

直近、営業の型化やAI活用による業務効率化といった「仕組み」を整えてきました。新たなビジネスモデルへの挑戦に関する言葉をここまで数多くお伝えしてきましたが、これまでのサービスがなくなるわけではありません。「仕組み」が整っているからこそ、次の未来を創るための「仕掛け」に着手することができます。これは組織としての心理的安全性と言えるかもしれません。

ただ、「正解のない時代を面白がろう」という言葉の通り、自ら「仕掛ける側」になって変化を楽しむには「仕組み」を整える時とは違うマインドや考え方が大切です。それが、組織ポリシーとして掲げている「いいぞ、もっとやれ!」に集約されます。

失敗を恐れずに新しいアイデアや挑戦が飛び交う。正解を求めて動くのではなく、荒削りでもいいから様々な施策を試みる。かつて、オフィスで全員から見えるところに「いいぞ、もっとやれ!」と書いて貼ってあったこともありますが、それくらい、原点に立ち返って、「いいぞ、もっとやれ!」と背中を押し合える、挑戦への気概と活気に溢れた組織へ成長していきたいですね。

「人とAIの共創」の先にある「人」の介在価値

ー昨年11月に「ギークス AIステートメント」を策定しました。策定前から「人とAIの共創」を前提とした、業務のAI利活用を進められていたと思いますが、メンバーの変化についてどのように感じられていますか。

「AIとはたらく、AIでつなぐ」をコンセプトとした「ギークス AIステートメント」を発表しましたが、この1年ほどで事業部メンバー全体のAI活用能力は格段に向上したと感じています。現在ではほとんどの業務でAIを活用していますし、AIを使っていないアウトプットへの違和感が組織全体に生まれています。

その背景には、部門横断型の「AI利活用プロジェクト」の存在があります。有志メンバーを中心にナレッジ共有や個別相談会などを通じて、事業部全体のAIリテラシーを底上げしてくれました。さらに、ギークスが持つ独自の営業ノウハウやマッチングデータを集約した統合型AIエージェント「GEECHS AI」の開発・導入も大きいです。これらの多くが、エンジニア経験のないメンバーが頭に汗をかき、手を動かした結果ですし、そういった積み重ねが「私にもできるかも」という意識変革にも繋がっているのだと思います。

「CSRレポート2026」のスライドにもまとめられていますが、ITフリーランスの紹介資料の作成工数が削滅されたり、CS担当のメンバーの情報収集・入力率が向上するなど、定量的な成果も表れ始めています。メンバーのAI活用度合いも階層ごとにレベル分けし、人事評価にも繋げていますが、「日常的に当たり前にAIを使いこなし、業務をアップデートできる状態」が組織全体にしっかりと定着した1年でしたね。

▲「CSRレポート2026」p.17より

ー「人とAIの共創」を掲げている中で、AI利活用が浸透した先での「人の介在価値」はどのようなところに生まれてくると思われますか。

AI活用による業務効率化などによって時間的な余白が生まれたからこそ、「人が本来やるべき本質的な仕事」へ集中できるようになったと感じています。

私自身が最も危惧しているのは「AIに使われてしまうこと」です。例えば、メール作成一つにとっても、自分の頭を使わず、目的や伝えるべき内容、メールの受け取り手の情報などが不明瞭なまま、AIに丸投げしてしまうと、アウトプットされた内容が正しいかどうかわからず、トラブルに繋がることもありえます。

「GEECHS AI」も含め、社内のAI活用状況を踏まえれば、確からしいアウトプットは出てくるので、自分で考える思考力とその機会はどんどん奪われてしまいます。結局のところ、コミュニケーション力や論理的思考力といったベースとなる本質的な人間力こそが、AI時代における一番の強みになるのではないでしょうか。

だからこそ、選考でも論理的思考やコミュニケーション、基本姿勢といった根本の部分を重視していますし、新卒研修などではあえてAIを使わずに自分の頭で考え抜かせる場面を意図的に作るようにしました。

また、AIによって生まれた時間を使って「どれだけ泥臭くお客様やITフリーランスの方々と向き合えるか」が重要です。AIで効率化された時間をそれぞれとの深いコミュニケーションや課題抽出に充て、成果を上げたメンバーが「Buddy賞」を受賞するなど、「人とAIの共創」による新たな価値創造が生まれ始めました。

Best of Buddy賞を受賞した小西さんも「お節介」という人間らしさが強み。

ーここまでお話しいただいた内容を含め、「Beyond Agent」に準じた変革の先で、ギークスはどのようなポジションを目指していくのでしょうか。今後の展望を含めて教えてください。

これまでは「働き方の『新しい』当たり前をつくる」を事業ミッションに、ITフリーランスの支援を通じて、IT人材不足という社会課題の解決に取り組んできました。これからは「Beyond Agent」のスローガンが指し示す通り、「IT人材を供給するエージェント」の枠を超え、「日本のDX・AXを加速させるインフラ」への進化を目指します。

私たちは、現場で「人とAIの共創」を泥臭く実践し、私たち自身がAXを進めてきました。ITフリーランス支援の20年以上の実績とナレッジを武器に、企業の課題を解決する「BizDev」営業組織と、現場で課題解決を即座に実現する「FDE」フリーランスが一体となり、日本全国の企業の事業変革を強力に後押ししていく。これまでの殻を破って、日本の未来を創る不可欠なインフラとして進化し続けていきたいですね。

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