ギークスでは、2026年8月にコーポレートサイトのキーメッセージを「人とAIが共創する当たり前を」へとリニューアルするなど、「人とAIの共創」が事業と業務の大きなキーワードとなっています。AI利活用の波は、有志メンバーによる社内プロジェクトなどを中心に、前年度から加速し、各現場で業務改革の取り組みが進んでいます。
今回は、地方拠点におけるAI利活用の最前線について、大阪支店で働く関西・中部営業部 部長の小野さんと、大阪支店からAI利活用プロジェクトに参加する中村さんにインタビューを行い、AI利活用への興味のきっかけや業務効率化などに向けた試行錯誤、そして「AI時代の人の介在価値」に対するお二人の想いなど、たっぷりとお話を伺いました。
大阪支店発のAI利活用推進の背景
ー本日はお時間をいただき、ありがとうございます。地方拠点におけるAI利活用について、大阪支店を事例にいろいろとお話を伺えればと思いますが、まずは小野さんに伺います。2025年度のBest of Manager賞の受賞の背景に、地方拠点から全社へのAI利活用推進が挙げられました。推進の経緯などから教えてください。
小野さん:Best of Manager賞の受賞は、大阪支店(関西・中部営業部)としての営業成果はもちろんですが、地方拠点からAI利活用を積極的に推進し、全社的なインパクトを与えられた部分を評価いただけたことが率直に嬉しかったです。

2025年4月のギークスアワードの際、IT人材事業本部長の成末さんから「全員、アップデート」というスローガンが発表され、AIとともに進化していく組織方針が打ち出されました。大阪支店の場合は、組織を束ねる私自身が積極的にAIを活用し、その有効性を営業数字や業務生産性などを通じて証明したいと考えていました。
当初は何か戦略があったわけではなく、「まずは自分たちの業務で試してみよう」とスモールスタートから始めていったんです。Salesforceへのデータ入力や抜け漏れタスクへのアラート通知など「自動化できたらいいな」「何か改善できないかな」と思っていたものも多かったので、そこにAIを組み合わせていくことから取り掛かりました。
ー一方で中村さんはIT人材事業本部内の有志メンバーで進める「AI利活用プロジェクト」の一員として、事業部全体のAI利活用に取り組んでいます。プロジェクトに参加した背景などを教えてください。
中村さん:昨年の春頃だったと思いますが、小野さんから、AI利活用プロジェクトが立ち上がること、大阪支店からも参加してほしいと言われたことを伺いました。「やってみない?」とお声かけいただきましたが、その言葉をいただかなくても、私自身、挑戦してみたいと強く思っており、参加を決めました。
元々、AI活用がトレンドになる中で、自分も触ってみたいと思い、かじる程度ではありましたが、いろいろやってみていたんです。ただ、セキュリティやコストの観点からできることにも限りがありましたし、プロジェクトへの参加は渡りに船という感じでした。
私はエンジニアではないので、興味先行で右も左も分からない状態からのスタートでしたが、Xやnoteに毎日のようにコードやプロンプトの事例紹介記事が公開されているので、そこから社内の業務に紐付けながらトライアンドエラーを繰り返していきました。

—大阪支店のAI利活用は、部長としての小野さんの気概と中村さんの好奇心・挑戦意欲が相乗効果を生み出して、始まったんですね。上司と部下という関係性もありますが、お二人はどのように連携しながら、AIを触り、業務へ繋げていったのでしょうか。
小野さん:私の中では「面白そうやん、やってみよう!」というノリと勢い、スピード感を大切にしながら、中村さんと「パスし合う」スタイルで連携を深めていきました。
二人とも「AIを触るのが好きなタイプ」で、少しでも時間があると、いろいろと試してしまうんです。なので、何かアイデアを思いついたら、どんなに些細なことでも「これ試してみて」「こういうプロンプトを入れたらこんな挙動が出たよ」とすぐに共有し、スクラップ&ビルドでブラッシュアップしていきました。
私自身、日々の業務の中で「この業務は、AIが使えるかもしれない」という気づきがあれば、今でもすぐに中村さんに共有していますし、上司と部下という関係性というよりは、一緒に研究を進める「共同研究のパートナー」に近い感覚ですね。
中村さん:おっしゃる通りで、各自で試せる環境を用意して、良いものができたらすぐにパスを送る感じでした。1人だけで進めているとどうしてもアイデアが行き詰まったり、「本当にこれで合っているのかな」と不安になったりしますが、小野さんと2人で連携しながら進められたからこそ、面白さが何倍にも膨らんでいるのだと思います。
AI利活用プロジェクトのメンバーとの間で生まれたアイデアも、支店内に小野さんがいらっしゃることで、大阪支店にアレンジした形で素早くアウトプットに繋げ、検証を繰り返すことができました。
何より、お互いに「この業務を楽にしたい」「自動的に進められるものは手放したい」という業務効率化・自動化に対する目的意識を持っていたので、共通言語がある中でスムーズにコミュニケーションが取れていました。
—先ほど中村さんからはXやnoteでインプットを重ねたというお話がありましたが、お二人とも非ITエンジニアという中で、普段どのように情報収集やノウハウの蓄積をされているのでしょうか?
小野さん:私の場合は、AI関連のYouTube動画やWEB記事を見つけたら、テキスト化して、AIに一括で読み込ませてしまうことが多いですね。当初は自分自身で逐一目を通してインプットを重ねていましたが、そこを効率化したいなと思って、私の分身AIを作ったんです。
これまでの会話履歴や私の考え方・思考プロセスを学習させた「AI小野」に情報をどんどんインプットさせ、「小野さんならこの情報が必要ですよ」「これはギークスの業務で使えますよ」と私に合わせたレコメンドや要約を自動的に出してくれるように整えました。
中村さん:私の場合は先ほどもお伝えした通り、Xやnoteが中心です。「こんなプロンプトを作ってみた」「GASでこういう自動化ができた」という具体的なコードや事例を見て、自社用に書き換えて試すのが基本スタイルです。
ゼロからコードを書く知識がなくても、良い事例を集めてきて「自社の業務にどのように生かすか、組み合わせるか」を考えることであれば、ITエンジニアでなくても進められると思います。いろいろと試していく中で「このエラーはどう直せばいい?」などAI自体に解決策を聞いていけば、自然と裏側の仕組みや知識も溜まっていくので、手を動かしながら一つずつインプットを重ねていく感覚ですね。
現場での試行錯誤と全社への具体的なナレッジ展開

ーここからは少し具体的なことを伺っていきたいと思うのですが、大阪支店ではAI利活用を通じて、どのような業務改善や効率化に着手していったのですか?
小野さん:冒頭でお話ししたことにも繋がるのですが、最初に本格的に取り組んだのはSalesforceへのデータ入力促進です。メンバーによって入力内容やその精度と粒度、入力タイミングにバラつきがあり、それが営業機会の損失やデータ分析の精度低下に繋がってしまうという課題がありました。
そこで、書類未回収の件数や未対応のタスク数などを自動で毎朝通知する仕組みを中村さんが構築してくれたんです。AIによるデータ入力支援なども組み込んでいったのですが、これが大阪支店発のAI利活用の好事例ですね。
中村さん:元々は「自分の業務を楽にしたい」という個人的な願望からスタートしたのですが、入力の煩わしさを感じていたり、抜け漏れが発生したりするのは自分だけではないはずだと思ったんですよね。結果的にデータ収集の精度向上に繋がり、本当によかったです。
また、首都圏メンバーのGASを使った取り組みの話を聞いて、自分にも何かできないかと思い、メール配信の効率化に注目しました。下書き作成の効率化などに一定の成果を挙げることができたのですが、これは少数精鋭で営業活動を行う共通点がある福岡支店で特に役に立ったと伺いました。
小野さん:先ほど自分のインプット用に「AI小野」があるとお伝えしましたが、元々はメンバーからの相談の1次対応用に作ったもので、私自身の営業におけるナレッジや考え方をAIに学習させて、若手メンバーが商談の事前準備や振り返りに使えるようにしたんです。私が商談や会議などでリアルタイムに相談に乗れない時にも、メンバーが壁打ち相手として使えるので重宝しています。
中村さん:このAIですが、実はちょっとしたギミックがあって、アドバイスの最後に「これでお客さまの信頼を勝ち得たと思うなよ」というような、小野さんからの熱いメッセージが返ってくるんです(笑)。AI相手なのですが「小野さんに相談に乗っていただいている感覚」がありますし、本当に背筋がシャキッと伸びるんですよね。

—AIに人間らしさや温かみなどを組み込んでいくのは面白い取り組みですね。そういった工夫や試行錯誤は業務時間内に行うのですか。お忙しいお二人なので、なかなか時間を確保することは難しいように思うのですが。
小野さん:基本的には業務時間内の取り組みですが、日中のちょっとした「隙間時間」を活用しています。中村さんとは一緒にランチに出かけることが多いのですが、その時の話題はだいたい「AI」で、共通の趣味の感覚で喋っていますね。
AI利活用の目的でもありますが、業務の効率化や自動化が進むと、時間に余白が生まれてきます。その時間を何に活用するかが、現在の私にとっては「AI利活用の検証」なんですよね。
中村さん:私もAI利活用で生まれた時間の余白を投資しているイメージです。ランチの時に小野さんと「あのAI、バージョンアップしてこういうことができるようになりましたよ」とか「これ試しました?」とか情報交換して、お互いに興味を持ったことを空いた時間に試しています。
当初は時間の余白があったわけではありません。AI利活用プロジェクトへの参加によって、AIを触って、いろいろと試してみることが業務になっていたので、そこが大きかったです。ただ、「あと少しで形になりそう!」「この挙動めちゃくちゃ面白い!」と盛り上がってしまうと、仕事が終わった後に熱中してしまう時もありました。
ーお二人を中心とした大阪支店の取り組みは支店内に限らず、事業部全体に波及しています。AI利活用に関するナレッジやtipsの共有はどのように進められたのですか。
小野さん:事業部内にはAI利活用に関するナレッジや取り組みを定期的に共有する場がありますし、チャットツールにも専用のTipsチャンネルがあります。私自身は、本部長や部長が参加する会議の場で積極的に報告や提案を行っていました。
そういった会議体に参加していると、組織全体の課題やボトルネックがタイムリーに把握できます。その課題に対し、どのようにAIを組み込んで解決するかを常に考えていたので、全社的な組織課題と大阪支店でのAI活用の取り組みを連動させて推進できましたし、成功事例を事業部全体への改善施策として提案できました。
中村さん:私自身は「AI利活用プロジェクト」の定例ミーティングや、メンバー同士の情報交換の場で共有していました。プロジェクトには各拠点やさまざまな部門のメンバーが参加しているので、それぞれの現場で起きているリアルな困りごとが拾えるんです。
他のメンバーが持ち寄ったプロンプトやGemなどのナレッジに対して、「これは大阪支店で応用できるかも」と着想を得られることもあり、一人ひとりの報告が貴重なアイデアの種になっていました。その場で自分なりの工夫やアイデアを提供し、大阪支店以外の部門などへ貢献できたことは、私自身の介在価値に繋がったと思います。
小野さんは部長としての視座から「組織課題を解決するAI活用」を考え、私は現場の法人営業担当として「目の前のメンバーのタスクを楽にするAI活用」を考える。この棲み分けと連携が機能していたので、全社へスムーズにナレッジを波及させられたのかもしれませんね。
AI時代における「人の介在価値」と今後の展望

ーIT人材事業本部では、事業部内のAI浸透を目的に、毎月「AI活用Team MVP」の表彰があると伺っています。直近の月間MVPにて大阪支店が組織として選ばれたと伺ったんですが、その受賞理由や取り組みなどを教えてください。
小野さん:支店メンバー全員がAIを利活用し、営業活動における成果分析やアクション設計を行い、営業活動の時間を確保するオペレーションの実行が評価されたことが受賞の背景です。併せて、大阪支店発で進めた複数の取り組みに対して、総合的に評価いただけました。支店全体が表彰されることはとても嬉しいですし、誇りに思います。
個人的な取り組みとしては、マネージャー向けに私自身が日常的に行っているAI利活用事例をお伝えする機会をいただいたことも大きかったです。一例として、Salesforce上の営業データを先ほどお伝えした「AI小野」と連携させ、営業分析の資料を生成するフローを紹介しました。前日の営業活動の分析レポートが出社時にはPCに届いている状況を創出できていますし、こういった取り組みを横展開していくことも私の役割だなと思っています。
中村さん:月間MVPチームとして評価いただいた取り組みの中では、案件とITフリーランスの方のスキルマッチを検証できるアプリ開発が挙げられます。
入社から日が浅いメンバーの場合、この案件にこのITフリーランスの方を紹介していいのかどうか、という迷いが頻発し、その都度、上長や先輩に相談する必要が生じます。キャリアが長くなれば直感的にも分かるようになるのですが、その暗黙知を補うアプリを作りました。
全社的には、現場メンバーが活用する統合型AIエージェント「GEECHS AI」の運用も進んでいますが、「これがあったら助かるな」というアイデアの集合体でもあると思いますので、私自身は何か思いついたら、とりあえず作ってみて、事業部全体へ還元できたらと思っています。

ー大阪支店のAI利活用の先進的な取り組みや「GEECHS AI」の運用などによって、AI利活用は当たり前のものになっています。業務の効率化や自動化が進んでいく中だからこそ、これからの「人の介在価値」はどのようなところにもたらされると考えていますか。
小野さん:AI活用がここまで当たり前になってなかった2、3年前は、商談があれば、その準備や商談後のデータ入力に時間をかけ、そこで得たナレッジを社内wikiに書き込んでいました。また、事業部内や支店内の会議の準備に時間を割くことが多く、売上を作る「営業」という役割なのにも関わらず、デスクワークばかりで、お客さまに対する時間をどれだけ割けていたのかと、今振り返ると不安や不満に思うほどです。
AIによって生まれた時間の余白をいかにお客さまやITフリーランスの方々と深く向き合う時間に変えられるか。そこにセールスパーソンとしての介在価値が生まれてくるのだと思います。
お客さま1社1社に向き合う時間を増やすことができるので、その時間で何が提供できるのか。ある意味、自分自身という価値がダイレクトに成果や信頼、評価に繋がってくる時代がやってくるのではないでしょうか。
中村さん:AIを活用することで、これまで準備や事務作業に奪われていた時間が減り、お客さまの抱える本質的な課題や、ITフリーランスの方のキャリア意向をじっくり聞き出すといった「対話」の時間に充てられるようになりました。
非ITエンジニアの立場からAI利活用へ挑戦してきましたが、「現場の困りごとを見つけ出し、AIを使って業務プロセスそのものを再設計する」という経験が、これからの時代のビジネスパーソンにとって大きな強みになるのではないかと思っています。
「AIありき」と言いますか、その前提で自分に何ができるのかを考えていかないといけないですね。
ーそれでは最後に、AI利活用を通じて大阪支店を牽引してきたお二人の今後の目標や展望について教えてください。
中村さん:ここは小野さんに締めていただきたいので、私から先にお伝えさせてください。
小野さんとAIを触る中で痛感したのは「アウトプットの差はインプットの差である」ということです。AIに対する問いかけの角度や前提条件の与え方などによって、アウトプットの質が全く異なります。これは先ほどお伝えした、部長としての視座から「組織課題を解決するAI活用」が背景の一つだと思います。
私自身、AI利活用プロジェクトの一員でもありますし、インプットの質を高め、視座を引き上げ、より質の高いAI利活用の実践者を目指します。その上で、企業・ITフリーランス・大阪支店のメンバーなど、関わる全ての皆さまに「AI時代のスキル開発やキャリア形成」を自信を持って語り、伴走できる存在になれればと思います。
小野さん:私の目標は、大阪支店をAI利活用によって圧倒的な成果と価値を生み出す組織へ成長させることです。
業務効率化や自動化はあくまでも手段に過ぎず、AIによって生み出された時間を活かし、お客さまやITフリーランスの方々と深く向き合い、人だからこそ発揮できる「介在価値」を最大化させていくことが「AI利活用」の本質です。
現在、私たちは企業とITフリーランスのマッチングにとどまらず、AI活用を前提とした事業変革や業務プロセスの再構築を提案するAX領域への事業展開に挑戦しています。AIやAXに深い知見を持つITフリーランスの方々とタッグを組み、私たちの伴走力を掛け合わせることで、それは実現に近づいていくと信じています。
ギークスのこの新たな挑戦においても、大阪支店が全社を強力に牽引していく存在でありたいですね。
ーありがとうございました!
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